特ダネには真実を
そう言って、潮は首にかけていた鍵を取り出して、自分の机の引き出しを開ける。



「じゃ、その窓口の人物は?」


「だ・か・ら!言えないって言ってるじゃないですか!」



言いながら、引き出しから取り出した厚さ10センチにもなるファイルを、薇晋の目の前に差し出した。



「なんだ?」


「今までに嚇止くんと私が調べたものです。」



ファイルの中身は、横領疑惑に関係するであろう帳簿の資料だった。



「これは……」


「それは半分です。もう半分は嚇止くんが持ってます。」


「いや、このようなものは、どこからも発見されていないが。」



警察が、国北照もとい綻着嚇止の殺害現場や自宅など探しても、こんな資料は見付かっていない。



「でしょうね。あったら薇晋さんが最初に言ってるでしょ。」


「ああ。」



「今時、紙資料が珍しいですか?データだと仕事上紛れるからって、それだけは紙にしたんですよ。半分にしたのは、どちらかが奪われても、大丈夫なように。」



これでも結構危ない橋、渡ってるんですよー。
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