特ダネには真実を
「先輩っ…!」



碣屠實と会ってから数日。

取材先にいた潮は、囃噺からの電話に、新聞社へ飛んで帰ってきた。



――秀滝が資料を受け取って警察から帰る途中、襲われて怪我をした。



「南能…!?」


「大丈夫なんですか?!」


「…ああ。大したことない、かすり傷だ。」



秀滝が警察から帰る途中、バイクに乗った何者かに襲われバッグを奪われた。

抵抗して、左手の甲に切り傷と左腕に軽い打ち身を負ったが、生活にも仕事にも支障はない。



「南能…?」



秀滝は大丈夫と言ったつもりだったが、潮の表情は険しいまま。



「先輩に資料を渡して、その直後に襲われるなんてどういうことですか?!」


「す、すまん…。」


「南能、俺が無理矢理…」



薇晋に詰め寄る潮を、秀滝は言葉で制する。


ペンの忘れ物に気付いた薇晋が秀滝を追いかけ、襲われているのに気付いたが間に合わず、資料は奪われてしまった。



「警察にあるんなら安全だと思ったのに……」


「今、全捜査員でバイクの行方を追って、資料を」



「資料なんてどうでもいいんです!!」
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