特ダネには真実を
県議会から国政に進出しようとしている碣屠實に心配かけないように、潮は曖昧に濁した。


まぁ実際関係するものは、あの資料しかないのだが。



「随分警察を信用してるみたいだね。渠瑛さんと稽滸さんの時は、全く役に立たなかったのに。」



過去を思い出したのか、碣屠實の声が少し怒りに変わる。



「……まぁ、あの時は。ただ、話を聞きに来た薇晋っていう刑事さんは信頼出来ますよ。ウチの警察担当とも仲が……良くは無いですけど、嘘も無いですから。」



秀滝と薇晋の仲……というより囃噺のおかげで、関係各所での陽明日新聞社の評価は芳しくない。


まぁ秀滝は、囃噺よりは強引ではない為、持ちつ持たれつな感じだ。



「そっか。じゃ全部警察にあるわけだ。」


「はい。安心でしょ。」


「そうだね。」



碣屠實は、得意気に言う潮の頭を撫でる。



「ちょ、子供扱い止めて下さいよー」


「ごめん、つい可愛くってね。」


「褒めても何にも出ませんよー」



いつまで経っても変わらない碣屠實の態度に、潮はむくれつつも懐かしい感覚に浸るのだった。
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