特ダネには真実を
「いいじゃん!いいじゃん!特ダネ中の特ダネ!しかも、雁首まで揃えて!」


「県議会議員、しかも現役ですからね。部数も伸びて、売れてるって話ですよ!」



「そうなのよ!オーナーも珍しくご機嫌だったわ。」



囃噺と幄倍は興奮し、啄梔にいたっては滅多に見ることのない笑顔を見せている。



碣屠實の逮捕に居合わせた秀滝は、雁首……つまり逮捕の瞬間を捉えた写真付きで、記事を書くことが出来た。



薇晋と崇厩が他に言わずにいたおかげで、碣屠實墜玄の逮捕は、陽明日新聞社の独占特ダネとして一面を飾る。



外から帰ってきた潮は、興奮冷めやらぬ社会部に顔を出すよりも先に、ある人物を探していた。



「皆、大盛り上がりですよ。まっ、先輩ああいうの、苦手ですもんね。」


「南能…!」



中庭の少し奥まった場所にあるベンチに、目的の人物の秀滝はいた。



社会部や政治部のみならず、会社全員から質問責めに合いそうになったので避難していたらしい。


それを潮も分かっていたので、人があまり寄り付かないところを探していたのだ。



見付け出された秀滝の方は、見付かると思っていなかったようで驚いた顔をしている。
< 42 / 60 >

この作品をシェア

pagetop