横顔だけじゃ、足りなくて



-那雲 side-


ついに来てしまった学校祭。

真彩に一言言って教室を出たのはいいけど、実はというと行く場所がない。


行く宛もなく廊下を歩いていると、走って保健室に駆け込んだ女の子が見えた。


なんで保健室?

始まって早々怪我?


気になって保健室に入ると、ベッドに座って寂しそうに窓をみつめる女の子がいた。


その窓からは模擬店が見えていた。




『なんでここにいるの?』


「へっ!?」




俺の声に驚いて身体をビクッとさせた。


質問してから気づく…

一つ上の先輩だったという事に。




『タメ口使ってすみません』

「いいよ、タメ口使って」




俯く先輩は元気がない。


何かあったのか?




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