横顔だけじゃ、足りなくて



自分からキスをして、抱きしめることが出来た。


ちょっと頑張ってみた…


そのせいであれから、全く勉強が手につかなくなってしまった。


互いにシャーペンを持つ手が止まる…


さっきの事を思い出す度に、顔が急に熱くなってしまう!




『勉強進まなくなったね』


「うん…。
なんか、ごめんね」


『うぅん。
すごい嬉しかったよ』




また自然と俯いていた。


気づいた時にはシャーペンを握る私の手を、彗くんの左手が優しく握っていた…


パッと顔を上げると、目を逸らすことなくまた見つめ合う。


そして次は声を出して笑いあった。




『やばい…可笑しい』


「うん、頭可笑しくなった」




私たち以外誰もいない、静かな図書室に笑いが響く。


今日はもう勉強だめだ…。






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