蜜愛フラストレーション
思いがけず願いが叶って、会えた今。聞きたいこと、伝えたいことはたくさんあるのに。言葉にならず、堰を切ったように涙が溢れてくる。
「萌、今はどうしても直接的には守れない。だけど、絶対に守り抜くから。……でも、怖いよな?一番辛い時に守れなくて、本当にごめん」
悔しさと怒りを織り交ぜたような声音に、彼の憤りが伝わってきて、何度も首を横に振り続けた。
きっとこの時間を作ることも、疑われている中で待ち合わせることも大変だったはず。それでも真っ先に憂いを晴らしてくれたから。
泣き笑いになってしまったけれど、心配しないで?と伝えたくて必死に笑顔を作った。
「あと少しで決着がつくから。それまで……大丈夫か?」
腕の力を強めた彼の思いが胸に優しく響いて。私はその言葉を噛み締めながら、おずおずと涙声で返す。
「だい、じょうぶ。だから、優斗は、自分のことに、集中して?」
肩に手を置いて距離を取った優斗が、ほっと安堵の息を吐くと、今も頬を伝う涙を指で拭ってくれる。
そしてもう一度、腕の中に封じ込められる。何よりも欲しかったぬくもりに、不安も氷解していく気がした。
少し落ち着いた私たちは室内にあるソファへと移動し、互いの顔を見ながら話していた。
「……目の前で萌が告白されてんの見た時は、さすがに口と手が出かけた」
「……ごめん、上手くあしらえなかったね」
しゅんとする私に、「萌は悪くないだろ?」と言うものの、その声には不満が見え隠れする。
間近で見る優斗の顔には疲労の色が滲んでいて、自ずと彼の頭を撫でていた。
珍しい行動に目を瞠った彼もすぐに安らいだ表情を見せ、その目を閉じた。続けていいのか迷いながらも、つい頬も緩んでしまう。
そのまま柔らかな黒髪を撫でていたら、不意にその手を掴まれる。
驚いて目を丸くする私の頬をひと撫でし、距離を詰めようとする彼と視線が重なった。
「それも癒されるけど、もっと即効性あるものが良いな……?」
甘やかな声でそう囁かれた。頬に手を置かれて、鼓動はさらに早鐘を打つ。
鼻先が触れる寸前の距離で、扇情的な眼差しを向けられ、私は静かに目を伏せた。