蜜愛フラストレーション


その刹那、柔らかなもので性急に塞がれる。リップノイズを立て、何度も角度を変えてキスが深まりゆく。

すべてを奪い去るような激しさに、私はくぐもった声を上げながら目の前の首筋に手を回した。

その一瞬の隙をついて熱い舌が侵入、咥内を無遠慮に歯列をなぞりだす。

「……ん、ふぅ……んっ!」

舌を絡ませて封じた瞬間、今度は手先が腰に触れて。やわやわと性感帯を刺激されていく。

私は目を開けて睨みつけるものの、それがかえって煽り立てたのだろうか。

咥内をさらに舌先に蹂躙され、同時に胸と太ももを無遠慮に撫で始めた。

生理的な涙が頬をひと筋流れると、フッと眦を下げた優斗。優しいのか、意地悪なのか分からないところは相変わらずだ。

甘い誘惑によって、みだりに溢れだす欲。どう足掻いても、私はこの人しか駄目だから。

——この時間がずっと続けば良いのに、そう思いながら再び目を閉じた。


「やーだー、エロい顔してるぅ」

ニヤニヤしながらこちらを見てくる人物をひと睨みし、「セクハラ」と切り返す。

「目の前でそんな顔されるとねぇ。優斗、ここにいたらがっつきそう」

「いつかまとめて訴えてやる」

「えー、大丈夫?うちの顧問弁護士、相当強いけどぉ」

勝ち誇った百合哉さんにそっぽを向くと、目の前の料理を食べ始めた。


あれから優斗は名残惜しそうな表情で、約束があると言って部屋をあとにした。

入れ替わるように訪れた百合哉さんがルームサービスを頼み、ふたりで食事をしている。

私たちが会っていた間、百合哉さんはふたつ隣の部屋で仕事をしていたという。

時間差とはいえ、私と優斗の姿を誰かに見られた場合の逃げ道のために。さらに私に危険が及ばないよう、ずっと待機してくれたのだ。


< 115 / 170 >

この作品をシェア

pagetop