蜜愛フラストレーション
食事を終えると外は日も落ちており、すべての窓のロールカーテンを引くことにした。
静寂と暗闇は孤独を誘い、そこはかとない恐怖を蘇らせる。しかし、窓の向こうを一瞥した後はまた現実に戻るしかないのだ。
急に食べ物を押し込んだために少し痛んだ胃も落ち着いたので、就寝準備を済ませてしまう。
緊張なのか不安なのかよく分からない中で、あえて消灯前に病室内の電気をすべて落とした。
病院の特性上、完全には真っ暗にならず。扉の向こうから漏れてくる光を頼りにベッドに向かう。
普段ならば仕事に追われている時間帯だ。当然、眠気もないままベッドに寝転んだ私はおもむろに布団を被る。
薬が効いていても僅かに痛む頬は、先ほど鏡で確認したら先生の見立て通りに腫れてきていた。
しかし、その痛みを凌駕する心音はさらに速まっていく。……本当に大丈夫なのだろうか、と。
不安で押し潰されそうになると、点滴をしていない手を握り締め、この状況をジッと耐えた。
ついには手が痛くなり始め、頭の中で羊を数えていた頃。カタ、と微かな物音を立てながら病室の扉が開いたことに気づく。
どうやら嫌な予感は的中してしまったらしい。——実際に、不安要素が現れたのだから。
きっと今、声を出せたら大声で叫んでいたのかもしれない。それほどに白昼の恐怖は心を苦しめていた。
最上階にある広い特別室には応接ブースがあり、その奥にベッドがあるため辿り着くまでに少し歩く必要がある。
すぐに襲われる危険は確かにない。けれども、恐怖はその分増すということ。
どうにか震える手で身体を布団の中へ完全に潜り込むと、身をすくめて目を瞑った。
……やっぱり、どうしようもなく怖い。それでも、優斗を巻き込まなくて良かったと思う。
時間稼ぎも雀の涙と同じ。すぐに、ひたひたと近づいてきていた小さな足音がすぐそばで鳴り止んだ。
すぐ近くで気配を感じ、落ち着こうとするほどに呼吸が速まる私の身体は硬直していく。
無力な私はただギュッと固く目を瞑り、目の前に迫った大きな恐怖から逃れようとした。
「……ふぅ。まあ、しょうがないか」
「……っ、!」
低い声で吐き出された戦慄のひと言が耳に届き、ついに生理的な涙が頬を伝っていく。