蜜愛フラストレーション
中途半端な自分を露見させた挙げ句、みっともない悪あがきをしただけ。
なんて失態、なんて無様、なんて惨め。無限のループで自らを貶めてもまだ足りない後悔が取り巻く。
いつものように取りなすのはもう無理だとしても。さっさとこの腕を振り払い、足の甲を踏むなど逃げる手立てはある。
それらを行使せず、彼に直接解放を求めた浅ましい心を罵倒してもしきれない。
奥からふつふつと沸き上がる負の感情を持て余す。しゃくりをあげそうになり、キュッと唇を強く噛み締めた。
「……はや、く、離してっ」
「そのお願いは聞けない」
「ああもうっ、勝手すぎ!」
「うん、自覚してるよ。萌が怒るのも当然だね」
「な、んなのよ、もう……!」
押し問答に負けた悔しさなのか、感情が高ぶりすぎたせいなのか。堰を切ったように溢れる涙が頬を伝っていく。
そうして私は投げやりな心のままに、禁断のひと言を発してしまった。
「……わ、たし、もう、無理」、と。
その刹那、背後から彼の両腕が胸の辺りに回る。驚く間もなく、ギュッと苦しいほどに強く抱き締められていた。
言葉足らずの発言にもかかわらず、彼には意図したものが分かったのだろう。
「ゆう、と、苦しっ」
「……ごめん。本当にごめん」
焦燥に駆られた謝罪が鼓膜を揺らす。気づけば目の前の景色がどんどん霞んでいた。
苦渋に満ちたような声音には聞き覚えがあった。いや、ずっと忘れられないのだ。
——同じ声で縋るように謝罪をされた、かつての苦い光景をまざまざと思い出させるから。