嵐の夜に。【短編】
もしかしたら、今しかタイミングはないかもしれない。
「先生、好き」
口からすべりでた。
ドクンと先生の心臓が大きくはねた気がする。
「わたし、少しだけ光源氏の気持ちがわかったかもしれません」
「光源氏の……気持ち?」
「はい。結ばれるはずのない人を好きになって。
それがダメだとわかっていながらも抑えられず、愛に走った気持ち」
わたしの心臓もドクン、ドクンと鼓動が大きくなる。
「先生のこと好きになったって叶うわけがないってわかってます。教師が生徒と付き合うなんて、できるわけありませんし。
それでも気持ちを伝えたいって思いは止まらなかったんです」
先生から少しだけ体を離して、顔を見た。