嵐の夜に。【短編】
暗さに慣れ始めた目は、ぼんやりと先生の輪郭を映す。
しかし、その顔、表情まではわからなかった。
先生は手を私の背中から両肩に移動させた。
ゆっくりと先生の影が近づく。
え、と思う間もなく、唇が重なった。
手と同じ温もりが灯る。
そっと触れて、すぐに離れる。
「俺は……」
息がかかるほど近い。
「紫の上に惹かれる光源氏の気持ちが、少しわかるかもしれない。
相手は年下で、まだ子供だというのに、いつの間にか目が離せなくて愛おしくなっている」
「それって……」
わたしのことだって、うぬぼれてもいいんだろうか。