bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-

「遅刻しました。申し訳ありませんでした」


「寝坊か?」




静かにそう聞かれて

「はい…」

静かに頭を下げたままそう返事をした。




「昨日の晩、何してたんだ?」





昨夜のことなんて、本郷主任が一番よく知っているじゃない。

一緒に飲んで、慰めてくれたじゃない。

抱きしめてくれたじゃない。



忘れろって言われたけど、酔ってきっと忘れてしまうと自分でも思っていたけど、本郷主任の胸の中の感触と匂いが本人を目の前にすると鮮明に思い出されてしまう。




そこまで思い出して、謝罪して頭を下げている事も忘れ、ゆっくり頭をあげて本郷主任の顔を覗き見ようとした瞬間、本郷主任と目が合ってしまった。




その瞳には冷たい怒りが込められている事だけは痛い程分かった。




目が合った瞬間

「ふざけんな、お前の自己管理どうなってんだ」

怒号が響いた。


その怒号はいつも以上に大きな声で、会社中に響き渡ってるのではないかと錯覚するような程だった。




「だいたい自己管理がなってないんだよ」

「化粧も手抜きで通勤しやがって。お前は会社の広報だろ?会社の顔だぞ?」


「仕事なめるな。社会人として最低限の事出来ないなら帰れ」




一旦火がつくとなかなか消えそうにない本郷主任の怒りの炎を、



「すみません」

「申し訳ありません」



その言葉だけを言いながら、私は頭を下げたまま全身に浴び続けた。

 

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