bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-

「お疲れさまでした」

俺が、声をかけると唯野さんは

「お疲れさまです」

一言呟きながら、振り返りもせず出て行こうとしたが、何かを思い出したかのように立ち止り、振り向いた。



その表情はいつもの冷淡な顔だった。

「どうしたんですか?」


俺が聞くと、一瞬迷った顔をした唯野さんは

「本郷さん、安藤さんの事どう思ってるんですか?」

一昨日の圭吾の言葉もあり、俺は驚いてしまう



「どう思うかって言われても。あいつはあくまで部下ですから」



あまりの驚きにしどろもどろに答えると、唯野さんは表情1つ変えず

「それなら、俺、安藤さん狙ってますから。そういうことですから、じゃ、お疲れさまでした」

「…おっ、お疲れさまでした」


俺はあまりの驚きで、その一言を言うことが精いっぱいだった。


1人、フロアで今日の会議の議事録を作成しながら、唯野さんの言葉の一つ一つを解釈し、飲み込んでいく。


一昨日の圭吾の言葉も思い出されたが
「あくまで、安藤は部下だ」

自分で一言呟いて、その沸々としていた気持ちには気付かないふりをして、蓋をしたのだった。
 
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