bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-

それから半年近くたって、今日まで私は本郷主任の恋愛話は耳にしなかった。


から揚げを頬張りながら、


きっと目の前の仕事の鬼は、仕事ばかりで恋愛どころじゃないんだろう


1人納得して本郷主任の恋愛については訊かなかった。
 

「まぁ、俺が聞きたかったのは、恋愛じゃなくて仕事のことだけどな」



その言葉を隣の本郷主任に言われて、私は急に現実に戻された。


酔ってきているのだろう、私の頭の中が仕事ではなく恋愛が大半を占め始めているため、勝手に恋愛話をしてしまった。


あまりにも恥ずかしくなってしまい、から揚げを思い切り飲み込もうとしたら、思わず咳きこんでしまった。


「仕事ですか?!社内報の企画任されて、充実してますよ。まぁ…」

「まぁ…。なんだよ。」

自分が余計なひと言を言いそうになって、つい口ごもった。


酔ってしまったら、私は余計なひと言を言ってしまう癖があるのは、自分でも痛い程良く分かっていた。

だから思わずその次の言葉をせき止めたはずなのに、本郷主任がその一言を見逃さなかった。

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