あなたが教えてくれたから~約束~







桃佳に連れてこられたのは、病院の中庭だった。





外に出たのは入院してから初めて。





もう季節はすっかり夏本番といった感じだった。





蝉の声がうるさいほどに響いている。





むっとした大気と、濃い緑の匂い。






中庭には小さな東屋があったが、人の気配はなく、ひっそりとしていた。





桃佳は牛乳を手に持っている。





桃佳は牛乳が嫌いだ。






彼女いわく「牛乳飲んでも心臓治らないもんね」とのこと。






東屋に行くと、気温が少し下がったせいか、ほっと息がつけた。





「桃佳、こんなところにきて心臓平気なの」




「大丈夫、大丈夫」







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