甘々王子にユウワクされて。


「それって何。人と背景に学校の景色とかそんな感じなの?」



作業の手を止めず聞いてくる高槻くん。


突然の具体的な質問にまた少し驚く。



「わたしが描いてるのは、基本的にそうだけど……先輩とかだと風景だけとかの人もいますし、詩の人もいますし」



篠田先輩は、ただ図書館の景色だけを大きな大きな画用紙に描き上げた。


わたしはまさに、いつも黒髪ポニーテールの女の子とセットに描いているけれど……。



「そうなんだ。オツカレサマ」


「あ……ありがとうございます」



若干棒読みではあったけれど、労わってくれる彼。


そうしている間にも、彼の手からリボンが一つ、作成済みリボンを入れる段ボールに放りいれられる。


わたしも慌てて手を動かした。




その日はそれからずっと、リボンのすれる音だけが教室中に響いていた。


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