甘々王子にユウワクされて。
今の最終下校時刻は20時。
その時間になると昇降口が閉まってしまう。
段ボールの蓋だけかるく閉じて、急いで荷物を準備する。
鞄を肩に引っ掛けて、特別教室に鍵をかけた。
明日も早いので、鍵は自分たちで管理してもいいことになっている。
走って階段を駆け下りて、なんとか施錠時間に間に合った。
「じゃあ高槻くん……また明日」
昇降口を出て一息ついたところで、高槻くんにそう声をかける。
彼は自転車通学だから、こんな暗い中危ないよなぁ……と心配していると。
「自転車とってくるから校門で待ってて。駅まで送る」
「……え、」
お、送る!?
そんな申し訳ないことはできない。