甘々王子にユウワクされて。
「だ、大丈夫です! お気遣いなく……!」
「いや、普通に考えて危ないだろ。俺は自転車だから、駅まで送っても数分もかかんないし」
そ、それでも、高槻くんの家は駅から反対方向だったはず。
なんとか断ろうと思ったけれど……それよりもはやく彼は駐輪場のほうに行ってしまって。
仕方なくわたしも、校門で彼を待つことにした。
やっぱり……高槻くんは優しい人だ。
とても意地悪やなんかで、わたしに"侑心に近づくな"なんて言うとは思えない。
一体どうしてなのだろう。
彼のことが、不思議すぎる。
「待たせた。乗って」
そう一人考え事をしていると、車輪の音とともにやってきた高槻くん。
荷台に恐る恐る乗りこむ。
2人乗りなんてするのは……初めてだ。