守られるのは卒業よ!
20分ほどたった頃、桶の水には走って出てくるハリッシュの姿が映った。

そして外に出てきたハリッシュは口の中でモゴモゴと何かをつぶやくと、マリカといっしょにジャンプした。


「力いっぱい跳べ!!」


程なく、ナギンの邸は爆発で建物がバラバラになって吹っ飛んだ。

ハリッシュがふと、体の痛みで目を覚ますと、心配そうな顔をしてマリカがのぞきこんでいた。



「なっ・・・ナギンは!!!?」


「大丈夫、隣のベッドで寝てるわ。」


「ここは?」


「地名はわかんないけど、病院みたいよ。
ハリィってすごいね、病院めがけて跳んできちゃうなんて。
思わず、先生すご~~い!って思っちゃった。」


「おい・・・でも、無事に跳べたんだな。
よかった・・・ぁ。
いっ・・・イテテテ。」


「ハリィ、無事に跳んだとは言えないのよ。
あなたはお父様をおぶって跳んできたから、足が折れてるの。
もちろん、お父様に指導してもらいながら、私が治癒魔法をかけて痛み止めの薬草をつけて巻いてあるわ。
たぶん、あと2日もすれば魔法で補助しながらだったら、動けると思うけど・・・2日間はここから動いちゃだめ。」


「そうか・・・君とナギンがそういう判断を下したのなら、言うことをきくしかなさそうだな。
じゃ、2日もここにいたら危険の方が、追ってきそうだから・・・君たちは領主様のところに帰れるようにしてあげよう。」


「ハリィは?」


「俺はここで寝てるさ。動けと言われても動けないし・・・。
それにひとりなら外で戦えるから、君たちは。」


「だめっ!ハリィもスウェルのところに行こう。
あなたがいなきゃ、私たちは・・・こうやって生きていないわ。
それに、もっと魔法を習いたいもん。
ハリィの教え方・・・とってもわかりやすくて、楽しいからもう終わりなんてダメ。
お願い!!」



「でも俺は・・・領主様のところから、君を誘拐した犯罪者だから。
俺はもどっても捕まって終わりさ。」


「私がお願いする。
ハリィはお父様を助けてくれるために、私を連れだしたって証言すればいいでしょ。
だから、あなたもきてよ。ねぇ・・・。」


「俺は・・・やっぱり・・・すまな・・・おわっ、しまった!!!」
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