守られるのは卒業よ!
剣の稽古を終えるとマリカはいつものようにオーレアの邸にもどっていく。

最近のいつもの光景で、スウェルはただ、手を振って見送る。



「化け物たちと戦うにあたって、親戚、縁者から縁談話がどんどん舞い込んできている男とは思えぬ光景だな。」


「カナビス!!」


「今なら、いいとこの姫君もよりどりみどりってとこだろうに・・・その気はないの一点張りかぁ?」


「そういうおまえだって、俺より年上だろうが。」


「俺はおまえほど女性ウケがよくないし、重要な役職にあるわけでもない。
力技あるのみだしな。
それに、俺はここにいてさりげなくマリカと話ができればそれで今はいいと思ってるんだ。」


「俺もだ。マリカと朝稽古して、さて、今日もがんばるかっていう気分になる。
それでいい。」



「そうかぁ?おまえはそういう顔はしてないみたいだがなぁ。」


「な、なんだよ。」


「マリカを抱きたい。そういう顔をしてる。」


「こいつ、いい加減なことを・・・!」


「あははは。おもしれぇ!
図星だろうが。
戦いが始まったら、もう会えないかもしれない・・・そんな不安がそういう顔させてるんだろうな。」


「バカ、戦いには勝つ!
そうでなきゃ、俺たちがやられたら、信じてくれてる国民みんなが殺されてしまうだろ。
あ、そうだ、おまえ・・・飲み食いの多いパーティー好きだったよな。

王立病院の前の広場でケガが治った商店主や農家の人たちの協賛の立ち食いパーティーがあるそうだ。」



「おお!!そりゃ、魅力的だな。
飲んで、食って、踊って・・・なかなかざっくばらんなお祭りみたいじゃないか。
でも、なぜそんな話をおまえが言うんだ?・・・あっ、さては・・・マリカからきいたのか?」


「ああ、でも、俺も出先できいてな。
マリカと会った時は・・・いっしょに踊ってほしいと頼んでおいた。」



「うぉ!おまえぇぇええー!いつのまにそんな約束取り交わしてたんだぁ。はぁあああ??
じゃあ、おまえは踊れ!、俺は飲む!!」


「あれ、カナビスはマリカと踊らないのか?」


「俺とでも踊ってくれるんならな。
マリカが楽しければ俺はいい、楽しいんだ。
彼女が敗戦国の娘でなければ、もっと早くにわりきれてるんだろうけどなぁ。」


「そうだな・・・。
俺は、マリカが奴隷という位置づけでも気にならないんだが・・・。
(ときどき、はがゆくて暴れたくなる気分だ。)」
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