ベビーフェイスと甘い嘘

どうやら九嶋くんには、残念な報告をしなくてはいけなくなってしまったらしい。

だって優しい目どころか……今はテーブルに突っ伏しているから見ることはできないけど、その目にはきっと殺意がこもっているに違いない。


弱点は見つけたけど、お酒が弱いなんて何の弱味にもならないわね。一緒に飲むくらい仲良くなんてなれないもの。


何も収穫の無かった送別会にがっかりしながら、私は4杯目のジョッキを空にした。


***

「で、酔っ払った店長を相沢が送って行くことになったの?」

「うん。何か軽々と担ぎ上げてた」

「担ぎ上げてたってのは言い過ぎでしょ」

「うん。でもしっかり支えてたよ。初花ちゃん背が高いでしょ?なんだか店長のほうが彼女みたいで……」

そこまで話して、初花ちゃんに支えられながらふらふらと帰って行く店長の姿を思い出す。

堪えきれず笑い出す私を見ながら「二人きりで帰すなんて、みんな鬼だよね」と呆れたように九嶋くんが話している。

帰りがけ通り道なので店に顔を出して、私は九嶋くんに今日の送別会の結果報告をしていた。

「しょうがないじゃない。唯ちゃんも私も帰らなきゃいけなかったし、鞠枝さんに手伝わせるわけにいかなかったもの」

「ねーさんは暇でしょ」

「明日早いのよ、これでも。九嶋くんに仕事押し付けちゃって悪いなって思ったから謝りがてら報告に来ただけよ。もう帰るわ」
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