ベビーフェイスと甘い嘘
「さっき、奈緒美ちゃんに何て言ってたの?」
「あぁ……奈緒ちゃんの代わりに、ヤスさんとこに俺が智晶さんの様子を見に行くからって」
「……ヤスさんのお店ってどこなの?」
「智晶さんのことが心配?」
「うん。凄く顔色が悪かったから。……九嶋くんは、奈緒美ちゃんとも知り合いだったんだね」
「うん」
「お兄さんと奈緒美ちゃんって同級生だったんだよね」
「そうだよ」
直喜はそれだけ言うと黙ってしまった。
しばらくして「えっとね……」と話始めたけど、何だか話すのを躊躇っている様子だった。
「……前に『still』に行った時、俺がバイトしてたのは兄貴の友達がオーナーと知り合いだったから、って言ったのは覚えてる?」
「うん」
何となくだけど覚えていた。
「オーナーってのはヤスさんね。で、勇喜の友達っていうのが、智晶さんの兄さん。勇喜と奈緒ちゃんと智晶さんの兄さんは小学校から一緒なんだ」
そう言われて思い当たった。
「九嶋くんのお兄さんってもしかして……『チヒロ』さん?」