ベビーフェイスと甘い嘘
胸が……もやもやする。
九嶋くんは、毎日あの部屋でどんな気持ちで過ごしてるんだろう。
そして……どんな気持ちであの広いベッドで眠るのだろう。
虚しくはないのだろうか。
二人分の大きいベッドに独りで眠る寂しさは、私もよく知っている。
「暫く、寝室を分けないか?」
修吾がそんな事を言い出したのは、翔が生まれて3ヶ月目の事だった。
夜泣きが酷く、一時間毎に授乳に起きる姿に溜め息を吐かれた矢先の出来事だった。
翔が大きくなったらどうせ必要になる、とシングルのベッドを買って、書斎にしていた部屋に運び込んだ。
大きくなったら?生まれたばっかりなのに。そう思ったけれど、不満を口にすることはできなかった。
それ以来、寝室はずっと別々のままだ。
一月に一度の夫婦の時間の時だけ、私は修吾の寝室に入ることを許される。
言葉もなく、私の反応を確かめることもなく、愛されているという実感もないまま、ただ彼を受け入れるだけの自分。
その現実に心が悲鳴を上げて、涙で意識が溺れていった。