ベビーフェイスと甘い嘘
「運動したほうがお産が軽くなるって言いますけどね」
「そうだよね。鞠枝ちゃんったらさ……」
「……おい」
話が弾んでいたところに、不機嫌な声で店長が割り込んできた。
「……仙道さん。あなたは世間話をする為にここに来たんですか?」
……そうだった。
私も呼び出された立場を忘れてつい話し込んでしまった。ってか……今社員に向かって「おい」って言ったよね?この人。
「もー、相澤くんは固いんだから。いきなり本題出したら柏谷さんが怖がっちゃうでしょう」
「固くもなるでしょう。社員がこんなにいい加減な奴だったら」
「やだなー。僕仕事はちゃんとしてるよ?」
「仕事をきちんとするのは当たり前でしょう。偉そうに言わないで下さい」
この二人が話してるのをちゃんと聞いたのは初めてだけど……何だか根本的に合わないような気がする。
「……で?話って何でしょう。あまり良くない話のような気がしますけど」
まだまだ不毛な会話が続きそうだったので、とりあえず本筋に戻してみる。
「あぁ、そうそう。クレームが来てたんだ」
仙道さんはこんにちはーと挨拶するくらいの気軽さでさらっとクレームが来たと口にした。
「私に……ですか?」
「お客様相談室宛にメールで届いたクレームなんだ。女性店員の接客態度に問題があるって。店の名前と、店員の容姿まで書いてあった」