ベビーフェイスと甘い嘘

「運動したほうがお産が軽くなるって言いますけどね」


「そうだよね。鞠枝ちゃんったらさ……」

「……おい」


話が弾んでいたところに、不機嫌な声で店長が割り込んできた。


「……仙道さん。あなたは世間話をする為にここに来たんですか?」


……そうだった。


私も呼び出された立場を忘れてつい話し込んでしまった。ってか……今社員に向かって「おい」って言ったよね?この人。


「もー、相澤くんは固いんだから。いきなり本題出したら柏谷さんが怖がっちゃうでしょう」


「固くもなるでしょう。社員がこんなにいい加減な奴だったら」


「やだなー。僕仕事はちゃんとしてるよ?」


「仕事をきちんとするのは当たり前でしょう。偉そうに言わないで下さい」


この二人が話してるのをちゃんと聞いたのは初めてだけど……何だか根本的に合わないような気がする。


「……で?話って何でしょう。あまり良くない話のような気がしますけど」


まだまだ不毛な会話が続きそうだったので、とりあえず本筋に戻してみる。


「あぁ、そうそう。クレームが来てたんだ」


仙道さんはこんにちはーと挨拶するくらいの気軽さでさらっとクレームが来たと口にした。


「私に……ですか?」


「お客様相談室宛にメールで届いたクレームなんだ。女性店員の接客態度に問題があるって。店の名前と、店員の容姿まで書いてあった」
< 326 / 620 >

この作品をシェア

pagetop