ベビーフェイスと甘い嘘
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「駐車場で待ってるから」
仕事を終えて帰り支度をしている途中で、九嶋くんからLINEが来ているのに気がついた。
帰り支度を済ませて急いで駐車場へと向かう。
「ねーさん、お疲れ」
駐車場の奥側、スタッフ用のスペースに停めてある私の車の傍に立っていた九嶋くんは、私が来たことに気がつくと笑顔で軽く手を挙げた。
奈緒美ちゃんと話した後、九嶋くんは店長と少しだけ話をして、それから帰って行った。あまり時間も経っていないのに、また戻って来てるなんて思ってもいなかった。
「お疲れ様。九嶋くん、どうしたの?」
「送るよ。眼鏡無いと運転できないでしょ?」
確かにスペアの眼鏡を持って来ていない。仕事だって目をこらしながらようやくこなしたのだ。
九嶋くんはそんな私に気がついて、わざわざ送るために戻って来てくれたらしい。
「今日は歩いて帰ろうと思ってたんだけど……」
「歩いて帰るのはダメだよ」
「どうして?」
「呆れた。何で分かんないかな。……ねーさん、昨日店長に送ってもらったんだよね?どうしてそんな事になったか、ちゃんと分かってんの?」