ベビーフェイスと甘い嘘
「……何か複雑な顔してるね」
「複雑って?」
「お気に入りの眼鏡が直ったのにさ、それも何だか素直に喜べない。そんな感じの顔」
「……」
図星すぎて言葉も出ない。
「それにさ、ずっと眼鏡だったのに何でコンタクトにしたのかなって気になってたんだよね」
「気になってたんだったら、別に聞いてくれても良かったのよ。……特に理由は無いの。結婚する前だってコンタクトにしてた時期はあったのよ」
「どうせ聞いたって今みたいに適当な事言って誤魔化してたでしょ?それにさ、そんな話をするほど仲良く無かったからね」
確かに、今みたいに適当に誤魔化して済ましていただろうと思うと耳が痛い。
「勿体ないなって思ってたんだよね。ねーさん眼鏡似合うから。それにさ、眼鏡してたほうが化粧が下手なの隠せてたし」
化粧が下手だって気がついてたのに、それも言わないし……人が悪いんだから。
こんなに気が利く人だから、きっと今までも私の事だけじゃなくて、他にも色々と気がついた事はあったんだろうと思う。
……だけどそれを口にする事はせずに、にこにことして表面上だけは人当たりが良かった九嶋くん。
眼鏡を外したけど特に理由を話す事も無く、ただ日々を嘘で塗り固めて作り笑いで淡々と過ごしていた私。
私達の本質は、驚くほど似ていると思う。