ベビーフェイスと甘い嘘
「翔……翔……」
どうしよう……どうしよう……
走り回って流れ落ちる汗とは違う、冷たい温度の汗が背中を伝う。
放っておかずに、無理やりにでも側に置いておけば……
もしかして校庭を離れて外に……?
……でも、いくら機嫌が悪くても翔が私の目の届かない所に一人で行くはずがない。
……じゃあ……まさか、誰かに……?
最悪の予想まで頭に浮かび始めたけど、その先は恐ろし過ぎて考えたくもなかった。
どこに行ったの?
どうしていないの?
もし翔がいなくなってしまうような事があったら……
ーー私はもう、正気ではいられない。
「かける!……かける!!」
翔が通う幼稚園ではないからと躊躇っていたけれど、もうそんな事を言ってる場合じゃない。
そう思って先生達の集まっているテントへと走り出したその時ーー
『こらー!ナオキ!!目立つなと言っただろうが!!』
男の人の怒鳴り声がグラウンドに響き渡った。