ベビーフェイスと甘い嘘

「ハァ?!」

カン!

テーブルに缶を叩きつけて身を乗り出した千鶴ちゃんに、思わず身体がビクッと跳ねる。


「直喜くんは何て言ってたの?会いたくないって言われて」


有無を言わせぬ迫力に、のけ反りそうになりながらも慌てて言葉を繋げる。

「……そっ、その時は答えを聞くのが辛くて逃げちゃった……それから連絡も何も無かったんだけどコンビニに突然来て……。会えなくなるのは嫌だって……もう話し掛けないからただの客だと思って欲しいって、そう言われて……」

「あー、もう!バカね!ほんとに!!……二人とも!!」


千鶴ちゃんは、ぐしゃぐしゃと音がしそうなくらいに激しく頭を抱えた。


「……茜ちゃん!直喜くんにちゃんと全部気持ちを伝えた?伝えてないでしょう?結局茜ちゃんは嫉妬してたんじゃないの?直喜くんの過去と奈緒美ちゃんに。でも向き合うのは怖くて逃げて全部無かった事にしようとしてるんじゃないの?……それって結局アホ旦那の時と同じじゃない」


「茜ちゃんが泣きたくなるのは直喜くんのせいなの?!違うでしょう。なのに、いきなり『もう声を掛けないで』って……直喜くんの気持ちを無視してるじゃない。拒絶されたって思われても仕方ないわよ!」
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