ベビーフェイスと甘い嘘
「へー。十年以上もお互い一筋って本当に?信じられない。どっかでちょこちょこ浮気してたんじゃないの?じゃなかったら、そんな噂……」
「こら、芽依ちゃん!みんなそうやって勝手な事ばっかり想像するから噂が広がるんじゃない」
「……はーい」
『はい』と言いながらも、芽依の口は不満げに尖っていた。
奈緒美ちゃんがコンビニに来た件を芽依は知らないはずなんだけど……今の態度を見ていると、何だか知っているような気がしてならない。
「……で?そう聞いた時、茜ちゃんはどう思ったの?」
またコツコツとテーブルを鳴らしながら、千鶴ちゃんがチラリとこちらに視線を向ける。
「……私ね、ずっと直喜の事を嘘つきだって思ってた。他の人に気持ちがあるくせに……どうして私なんかに構うんだろうって。だから噂を聞いた時もね、驚いたけど心のどこかにはやっぱりねって……諦めみたいな気持ちもあった」
「……それに、私も同じ嘘つきなのに直喜に何を期待してたんだろうって。ずっと自分の気持ちに嘘をついて修吾の側にいるのを選んだはずなのに、結局修吾には選ばれなくて……だから、こんな嘘みたいな関係がどうせ続くはずが無いって」
「……私ね、直喜に言っちゃったの。もう会いたくないって。直喜と会うといつも泣いてしまうから……苦しくなるからもう会いたくないって。私が一人で苦しんでいても、もう声を掛けないでって……そう言っちゃったの」