ベビーフェイスと甘い嘘
『知ってるよ。今から向かうね』
すぐに既読がついて、返信が来た。
***
「ごめんね。夜勤明けで疲れてるのに呼び出して。……それに、遅くなっちゃったし」
呼び出してしまったから、今さらなんだけど…もっと別の日にすれば良かったかもと後悔していた。
今日も夜勤のシフトだし、しかも明日はクリスマスイブだ。
一年で一、二を争うくらい忙しい日になるはずなのに、わざわざ疲れを残すような事をしてしまうなんて……ほんと……
「大丈夫だって。今の時間までしっかり寝たから」
「それにさ、茜さんと違ってまだ疲れを引きずるような歳じゃないしね」
私から漂うぐちぐちとした暗い空気を察したのか、九嶋くんはからかうような口調でそう言ってクスッと笑った。
確かに顔色も良いし、しっかり寝たという言葉に嘘は無さそうだ。
朝、仕事が終わったタイミングを見計らって『話したい事があります』と九嶋くんにLINEを送っていた。
できればその言葉だって直接言いたかったのだけれど、そう思った時に限ってなかなか二人きりにはなれず……
シフトの入れ替わりの時には、スタッフルームの中で初花ちゃんと何やら二人で話し込んでいたので、私は話しかける事ができなかった。