ベビーフェイスと甘い嘘

「ーーストップ。そこまで」



『浮気したのは、事実だけど』



そう言葉を続けようとして、九嶋くんに遮られた。


「もう、充分に分かったから……俺ね、直喜に怒ってたのと同じくらい、後悔もしてたんだ。『気になる事なら旦那に確認してみたら』って言った迂闊な自分に。直喜にキレたのも、八つ当たりに近い気持ちだった。だから、俺のせいじゃないって言ってもらって良かった。……この話は、もうこれで終わり。ね?」



このまま話を続けていたら、どうしてもあの日修吾にされた事を思い出してしまう。


……気がついてくれたんだよね。


九嶋くんの優しさに感謝しながら、少しだけあの日の怖かった気持ちを思い出して固くなってしまった身体を和らげるように、そっと息を吐き出した。


そんな私を見て、九嶋くんも表情を和らげる。



……やっぱり、私達は似ているなって思った。



「ねーさんの事、好きになって自分の駄目な所に気がついた。裏切られたって思い込んで、何年も今のままじゃ駄目だって思いながら……見守ってくれてた人達の気持ちに気がつかないで、それでもいいやって自分に言い訳しながら、甘えてたんだ」


「もう、逃げないから。俺も自分の問題とちゃんと向き合ってみる」



ーーだから、ありがとう。



そう言って九嶋くんは可愛らしいけど、綺麗な顔をくしゃりと崩して優しく笑った。



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