ベビーフェイスと甘い嘘
そんな私の様子を見ながら、九嶋くんは何か言いたそうに顔を曇らせた。


……どうしたの?


何か悪い事でも言ったかな、と不安になる私にまた苦笑いをしながら、九嶋くんはこう言った。



「……もう一曲目が何だったのかなんて、ねーさん的には興味無いんだよね?」


ーーあっ。


最初は曲名を知りたくて質問したはずなのに、何で?


……もう、私ってば、どうしていつもこうなんだろう。


「大丈夫だよ。『STAY』の方に興味が移っちゃったんだよね。分かるから、そんなに落ち込まないでよ」


明らかに"正解です"という表情になったんだろう。ククッと喉を鳴らして九嶋くんは笑った。


「だけど、このままじゃ直喜が可哀想だから教えてあげる。『マイ・フェイバリット・シングス』だよ。……知ってる?サウンド・オブ・ミュージック」



「映画……だよね?私、本は好きなんだけど、映画って見ないから、よく分からないの。……えーと、"私の大好きな物たち"って意味?」



「うん。まぁ、物じゃなくて、"私のお気に入り"って意味の方がしっくりくるかな。直喜が歌ってって言ったんだよ。アイツたぶん深く考えないで言ったと思うけど、あの時にはもうねーさんの事、心の中では意識してたんだよ、きっとね」


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