ベビーフェイスと甘い嘘
「いや……しかし、笑える。本当に笑える」


「他人(ひと)事だと思って、ずいぶん言いたい放題ね」



「それだけ色んな事から逃げて来たんだ。恥ずかしさも含めて、みんな自分で受け入れなきゃいけない事だろ……で、今日は分析。この前の続きな。原価率と廃棄、あと仕入れと終売の関係」



ひとしきり笑うと店長はスタッフルームにあるパソコンのモニターに目を向けて、さっさと仕事の説明に入ってしまった。



ただ笑われただけで、ろくに反論もできなかった私は、何だか不完全燃焼だ。



……今まで色んな事から逃げまくっていた事は否定できないから、仕方ないと言えば仕方ないんだけど。



ってか、自分だって他人(ひと)の事を言えないくせに。



じとっとした視線を向けると、「早く帰りたかったら集中しろよ」と怒られた。



私は今、社員になる為の試験を受ける準備をしている。



初花ちゃんがサンキューマートを離れる事になり、『まだ副店長の候補を決めてないんだったら、私がなってもいいですか?社員の試験受けさせてください』と、自ら店長に直談判したのだ。


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