ベビーフェイスと甘い嘘
クリスマスイブから付き合い始めた二人だったけど……


なぜか二人のシフトを必ず重ならないように調整したり、大晦日には店長が夜勤に入って別々に年越しをしたり、


付き合いたてとは思えないほど、二人ともあっさりとしている。


それだけじゃない。


店長が妹と一緒にいる所を初花ちゃんが目撃してしまい、店長が浮気をしていると勘違いをしたり、


バレンタインには店長がお客さんからたくさんチョコを貰いすぎて初花ちゃんが不機嫌になったりと……



何だかんだで、二人はちょくちょく揉めている。



「まぁ、初花が『茜さん』って呼ぶから呼びやすいってのもあるけどさ。油断するとすぐ柏谷さんって呼びそうになるんだよな」



……だから、他人の呼び方を考える暇があったら、少しの時間でも一緒にいてあげたらいいのに。



そんな事を思っていたから、次に店長がニヤニヤと笑いながら言った一言を理解するのに、少しだけ時間がかかってしまった。



「それに、何か新川って呼びにくい。勿論、仕事の時は呼ぶけど」



「……どうせ、まだすぐに名字が変わるんだろ。俺はそっちの名字のほうが呼びやすい。地元だし、馴染みがあるからな」



……何のこと?



一瞬だけ首を捻ってから、やっと意味を理解した。

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