ベビーフェイスと甘い嘘
「どっ……どうっ……」
「『どうして?』って言いたいんだよな。驚く度に馬になんなよ。笑える」
「……くっ」
腹が立って、腹が立って、腹が立って何か言ってやりたいのに、頬どころか顔にどんどん熱が集まって、顔中が熱くなっていくのを止めることができなかった。
不意を突かれるとは、正にこの事だ。
『地元』で、『馴染みがある名字』に私が変わるって言うって事は……そういう事だよね。
……この人は、何もかも知ってるって事だよね。
以前、直喜にお店で抱きしめられてしまったのを、たぶんこの人は見ているはずだから、ただの店員とお客さんじゃないって事だけは知られているとは思っていたけど。
ってか、まだ初花ちゃんにもちゃんと報告してないのに。
……どうして?
「茜さんさ、俺が『九嶋は、仕事はそつなくこなすけど、やる気が無いヤツは社員に向かない』って言ったの九嶋にチクっただろ?」
「クリスマスイブの日、九嶋に言われたんだよ。『俺ってやれば出来るヤツなんですよ。普段はやる気出してないだけで』……ってな。で、夜勤のサポートはいらないから、初花の所に行けって帰された」
「だからこの前、九嶋にも俺がずっと気になってた事を確認したんだよ。まぁ、九嶋には傷口に塩を塗ったみたいで悪いことをしたかなって思ったけどな」