ベビーフェイスと甘い嘘
「そうだ。智晶さんとは仲良くなれた?」
ええ!おかげさまで!!
九嶋くんの提案をのんだ私は、九嶋くんが夜勤明けで私が休みの平日に、彼のキャンバスになる約束をした。
特に目が大きい訳でもなければ、鼻が高い訳でもない。整った顔立ちでもない。良くも悪くも何にも特徴のない平均顔の私は、格好のキャンバスだろうと思う。
私の睨むような視線をさらりと流しながら直喜は、
「それなら、よかった」と言ってにこりと笑った。
……よかった?意外な言葉に驚く。
「智晶さん、話しやすい人でしょ?仕事場でもプライベートな話ができる人がいたほうがいいからね。いろいろ聞いてもらいなよ」
「えっ?」
それ、どういう事?
今までの直喜の行動を、単に彼の気まぐれやからかいだと決めつけていた私はその言葉に驚いた。
「ねぇ、直喜っ」
話しかけようとした私の背中に
「あ、『ウサミ』さん。いらっしゃいませー」
と陽気な声がかかる。
振り向くと初花ちゃんがから揚げのパックを抱えながらレジに戻って来ていた。
慌てて口を抑えて言葉を飲み込んだ私に、
「ホットコーヒーのRサイズ、お願いしますね」
とにこやかに直喜は笑いかけて、そのまま初花ちゃんと話しはじめてしまった。