ベビーフェイスと甘い嘘
「……身内の人が結婚式を抜け出して良かったの?」
店内であの日の話をするのはまずいと思い、一瞬言葉を飲みかけたけど、やっぱり口から滑り落ちて出て来てしまった。
雑誌を立ち読みしているお客さんだっているし、相方の初花ちゃんはフライヤーにいるけれど、いつこっちにやって来るか分からない。
でも……気になったの。どうしても。
「結婚式だろうが、何だろうが俺が急に居なくなっても、今さら誰も気にしない。……誰と消えてもね」
ヒヤヒヤしながら聞いた質問だったけど、彼の答えは私の想像の範囲を越えていた。
そんなとんでもない事を口にしながらも、飄々とした微笑みを見せる彼のその瞳は、今日も深く澄んだ色をしている。
やっぱり、綺麗な瞳だ。
目だけ見たら純粋そうなオトコに見えるのに。
『誰と消えても』だなんて、ひどい。
『あなたのことが気になった』……そう言って誘ってきたくせに。
私じゃなくても誰でも良かったんじゃない。
沈みそうになる気持ちをぐっと抑えて、私は軽蔑の視線を向けた。
そんな視線を気にも留めず直喜は話を続けた。