ベビーフェイスと甘い嘘
「そろそろ、短冊も書かなきゃね」
七夕は3日後に迫っている。オーナーが張り切ってバカみたいに大きな笹を持って来たから、飾り付けるだけでも時間がかかりそうなのだ。
「何色がいい?」
短冊の束を持って初花ちゃんに聞く。
「茜さんの選んでくれた色でいいですよ」
そう言われてすぐにある色がパッと浮かんだ。向日葵みたいに明るい初花ちゃんのイメージなら絶対この色だ。
「んー……それじゃあね」と迷うふりをしながらも、すっと黄色の短冊を初花ちゃんに手渡した。
「初花ちゃんは黄色って感じね。最近明るくなったから」
えっ?と驚いた顔で見られる。
ちょっとだけ自分の思っていることを伝えてみよう。何となくそう思った。
「最初に私がここで働き始めた時なんて、何か持病を持ってる子かと思ってたのよ。いっつも蒼白い顔してたからね。だけど、今はちゃんと明るい子だって分かるし……4月からは大変そうだけど、とっても生き生きしてる」
初花ちゃんは何か心に痛みを抱えている。気がついてはいたけど、わざわざ口にするようなことは今までしてこなかった。伝えたかったのは私はあなたのことを大切な仲間だと思っているよ、ということ。
だから一緒に頑張ろうね。そう思いながら笑いかけた。
「……ありがとうございます」