ベビーフェイスと甘い嘘
戸惑ったような表情で、初花ちゃんはそれでもお礼の言葉を口にしてくれた。何だか嬉しくなって「私の色も選んでくれる?」とお願いしてみた。
初花ちゃんはうーん……と考えながら、ピンク色を選んでくれた。
「茜さん、私と違って毎日ちゃんとお化粧してるし、可愛らしいから。でも、わりと最近ですよね?アイラインまでちゃんと引くようになったの」
私は、今までは毎日お化粧はしていなかった。
30歳を過ぎたらさすがにスッピンで表には出られないから、ただ塗って表面を繕っていただけだ。だからちゃんとしていた訳でもない。
今までの適当な化粧を誉められ、やっとまともに引けるようになったアイラインまで気づかれて、恥ずかしさで赤くなっていく頬を抑えて必死に何でもないふりをした。
「店長にも短冊書いてもらわないと」
そう言って初花ちゃんはスタッフルームへと向かって行った。
たまった仕事を片付けに来たはずの店長は、初花ちゃんから『ノルマです』と折り紙を渡されていた。仕事をしたかったのに網を制作しなければならない店長を気の毒に、と同情しつつも思わず笑ってしまう。
ずっと店長に振り回されてきた初花ちゃんだけど、だんだん逞しくなってきて、時々言い返せるようにもなってきている。なかなかいいコンビだと思う。
そう言ったら二人とも嫌がりそうだけど。