イクメン作家と恋心。初期版2巻(修正済み)
ビクビクしながら謝ると
ハァッ…とため息を吐かれた。
「イライラすると余計に暑い。
もういいから行くぞ!
それとこれを着ておけ」
そう言うと先生は、自分の上着を脱いで
私に渡すとさっさと行ってしまった。
「えっ?あ、待って下さいよ~」
慌てて睦月君と繋いだまま追いかけた。
先生の上着……。
心臓がドキドキと高鳴った。
向かった先に幼児用の小さなプール。
ぺん太君の形をした広めのプールになっており
小さな子供達は、親御さんと一緒に遊んでいた。
「うわぁ~可愛いプールですねぇ~」
私がそう言うと
「俺は、睦月が居るから
お前は、好きな所で遊んで来い」
そう言われてしまう。
えぇっ!?
「いえ。私もここで睦月君と遊びます」
慌てて否定する。
せっかく一緒に来たのに
バラバラで行動したら意味がない。
それに睦月君とも一緒に遊びたいし
すると睦月君が
「……僕。あっちがいい」
そう指を指してきた。
あっち…?
指を指した方を見ると大人用の流れるプールだった。
さすがにそれは…まだ早いんじゃあ?
「あれは、お前だと足がつかないから無理だ。
溺れたら大変だから大人しくここで遊べ」
先生は、そう言い聞かした。
睦月君は、コクリと頷く。
どうやら分かってくれたみたいだ。
遊びたい気持ちは、分かるが
確かに足がつかないと危ない。
だから可哀想だけど仕方がないわよね。
「睦月君。お姉ちゃんと遊ぼうか?」
ニコッと笑顔で誘う。
するとこちらに来てくれた。
そして、軽くラジオ体操をして
幼児用のプールに入った。
私は、膝小僧ぐらいの深さだ。
(うわぁ~浅い!?)
思ったより浅く驚く。
睦月君もプールの中に入って行く。
丁度いいぐらいの深さだった。
「…………。」
興味深そうにジッと水を見つめていた。