*°春夏タチバナ*°




【秋side】





流石に留年の危機を感じた俺は、今日1日ちゃんと勉強した…つもり




だから今もこうして京香に勉強教えて貰ってたんだけど…






なぜ、どうして俺は今、告白もどきをされてのだろうか…








事の始まりはほんの少し前
少し休憩ということで京香と話してたら────











「私ね、秋くんのこと好きだったんだぁ〜」











そう、急に京香が言ってきた




まじか、全然気づかなかった




でも、こうして言ってくれたことは素直に嬉しいし、緊張するだろうとも思う





自慢じゃないけどよく告白される
けど、よくそういう好きって気持ちはわからない





どこからが友達で、どこからが好きなのか


まだ俺にはわからない領域だ











「えっと…ごめん
京香といるの楽しいけど、好きじゃないのに付き合うのは良くないって前体験したことあるから、付き合えない」











俺がそう断ると、京香は笑った











「もうっ、私は好き "だった" って言ったでしょ♪」





「あ、ごめん」











過去系か


時々こういう事を言われたりするけど
どう反応していいかわからない





俺が少し困っていると、教室のドアがガタッと音を立てて、誰かがいた気配がした











「誰か、いたね」





「そうだね〜…
風じゃないっ?」





「かもね」











京香はそう言って笑うけど
さっき笑った顔とは違う




なにか不安がっているような感じ







そう、もしかしてあれだな



俺の、告白されて振った人とは喋らなくなるっていう噂






前までは本当だったけど
夏那に怒られて、冬羽と振った後も喋ってみて



もしかしたら喋っても大丈夫なのかも
と思い始めた








俺もずいぶん変わったなぁ






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