*°春夏タチバナ*°




私が教室の前につき、ドアを開けようとすると────











「私ね、秋くんのこと好きだったんだぁ〜」











────そんな声が聞こえてきた





これは、京香ちゃんの声だ


どうしよう…
今は入れる空気じゃないし
マフラー置いて帰った方がいいかな??





そんなことを考えている間にもどんどん話は進んでしまうもので
それは当然私の耳にもしっかり届く











「えっと…ごめん
京香といるの楽しいけど、好きじゃないのに付き合うのは良くないって前体験したことあるから、付き合えない」





「もうっ、私は好き "だった" って言ったでしょ♪」





「あ、ごめん」












そんな会話



"だった" ってことはもう好きじゃないのかな?




大体なんでこんな流れに!?




ていうか!!
好きじゃないのに付き合うのは良くないって経験したって、梨花さんのことだよね?




なんだか混乱してきて
でも、京香ちゃんを振ったのは少し安心した自分がいて…


なんて私は最低なんだろう…





この雰囲気の中入っていけるわけもなく、
私はその場を後にした








まさか去る時に音を立ててしまったなんて気付きもせずに…






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