*°春夏タチバナ*°
「…………………。」
秋くんと上級生の女の人が
秋くんの寝ていたであろうベットでキスをしていた
き、キスを…
保健室の先生がいないからと……
恋したこともなければ
初めてそんな現場を目撃した私は
ただ立ちつくすしかない
「はぁ、これでいいですか?
俺、あなたみたいな人に興味はないし
そんな人になにかするほど飢えてないので」
秋くんは先輩の女の人から唇を離すと
冷たい目で先輩にそう言った
一体何のことだかさっぱりわからない
けど、いい雰囲気ではないのはわかる
「秋くんひどいっ!
私と付き合わないなんてっ…」
「あんな言われて付き合う人いませんよ」
「もういい!!」
先輩は最後に私を睨んで
涙目で保健室を出ていった
とりあえず気にせずに私がベットのほうに行くと
秋くんからチラッと見られたのがわかった
なんとも気まずいですのぉ…
「な、なんか見ちゃってごめんね…」
この空気に耐えられず秋くんに謝ると
驚いたように目を見張った秋くん
やっぱり顔色悪いなぁ…
「こちらこそごめん」
「か、彼女さん??」
「そんなわけない」
「な、何かあったの?」
「付き合えとかしつこくて
キスしてとかもうるさいし…
理由が顔がタイプだからとか…ムカついたから黙らせた
時々そういう人来るんだよなぁ…本当迷惑」
秋くんが言った最後の一言は
ひとりごとのようで
聞こえるか聞こえないかくらいの声だった
それがなんとも寂しくて
今まで秋くんがどんな人と付き合ったのか
どんな人と友達だったのか気になる