*°春夏タチバナ*°




「じゃあ、今日はここで」











秋くんは私の頬から手を離すと
そう言って1歩下がる





でも、せっかく叶った片想い
すぐに離れるのさみしいな…なんて思っていると




秋くんは楽しそうに笑いながら
私をギューッと抱きしめてくれた











「そんなに離れたくない?
顔に思いっきり書いてあるよ」





「っっ!は、はずかしい…
でも、寂しいよ…」











私はきっと赤くなっているだろう顔を
抱きしめてくれている秋くんの胸に埋めて


秋くんの背中まで腕を回して抱きしめ返してみる











「冬羽は寂しがり屋かなー?
じゃあ、エアコン壊れてるし明日から冬羽の家におじゃましようかなー」





「いいよっ!是非来てっ♪」





「あははっ!
じゃあ行くから、また明日ね」





「うん、また明日♪」











そう言って今度こそ秋くんは歩いて自分の家に帰ってしまった





私は見えなくなるまでその場で秋くんの後ろ姿を眺めていた







それから夏休みずっと本当に秋くんは毎日私の家に来てくれて

すっかり両親とも仲良くなってくれたの♪





まぁ、ベタベタしてる感じじゃなくて
前とあんまり変わらないような会話をしたりしてるだけだけど




それでも私の中ではやっぱり前とは違うんだ♪









そんな幸せを残しつつ、夏休みは終わっていった






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