*°春夏タチバナ*°
私の唇に柔らかいのが触れた
私の目には、ドアップの冬貴くんの顔
こ、こ、こ、これは…
私の唇に触れているのは、冬貴くんの唇…
き、キス…?
「わからないなら、俺にしてくださいよ」
「………え…?」
私から離れたと思ったら
真剣に私の目を見て冬貴くんはそう言った
俺にしてくださいって…?
え?ん?どういうこと…??
「俺、まだ冬羽先輩のこと好きなんですよ」
「っ!?」
「好きじゃなきゃ、一度振られた人にこんなに優しくしませんよ」
「………え、えっと…」
どうしよう、頭が追いつかない…
今私は冬貴くんにキスされて
告白されているわけで
で、私はそんな人にずっと相談してて…
もしかして私ってすごく…
最低な人────?
「わ、私はでも…」
「俺なら泣かせたりしません
浮気だってしません」
「………」
冬貴くんの真剣な眼差しに
どうしていいのかますます分からなくなる
もう…どうしよう…
そんな私の様子を察したのか
冬貴くんは優しげにフッと微笑んだ