秋麗パラドックス
別に私は怒っていない。
寧ろ、持つべきものは同級生だなとも思ったし、よかったねと心の底から思っている。
けれど、それとこれを一緒にするのはどうかと思う。
おかしいと思ったのは、初めからだった。
今までも何度か『行かない?』と誘ってくれてた小春。
けれど、私が『行かない』と言ったらすぐに引いていたのに、『今回はタイムカプセル開けるみたいだし、行こうよ!』と引かなかった。
それだけじゃない。
私が参加者を尋ねれば、『来ないから!』と誰とも言っていないのに、それを教えてくれた。
…そこから、おかしいと思ってはいたけれど。
彼女の陰謀に私が気付かないとでも思っているのだろうか。
けれど私は彼女を責める気もないし、それには気付いていないフリをしておく。
「明日早いの。だから…」
『帰るよ』と、そう言おうとした。
すると、周囲がざわついていることに気付く。
そして、目の前にいたのは、高そうなワンピースに身を包み、パンプス、ブランド物のバッグを持った女性。
彼女を私は知っていた。
そして、彼女も私を知っている。