お隣さんのキケンな誘惑



今日も朝から働いた。


予約のおかげで今朝の事をすっかり忘れていた。


「お疲れ芽衣!久しぶりに一緒に飲みに行かない?」


「いいねぇ!」


智子と久しぶりに仕事帰りに飲みに行く事になった。


智子とは高校からの親友だ。
こうしてネイルサロンで働けるのも智子が誘ってくれたからだ。


二人で居酒屋に行き、私達はビールに摘みを頼んで乾杯した。


「やっぱビールは美味しいね!
そう言えば、昨日に予約の事で電話した時にお隣さんが引っ越してきたって言ってたけど、どんな人だった?」


「あー」


私は今朝の事を思い出した…


「どうした芽衣?」


「いや…それがさ…」


私は智子に昨日から今朝の事を話した。


「アハハハ、何それ!ウケるんだけど。
出会って直ぐご飯をご馳走して、部屋の掃除にビールを一緒に飲むなんてね?
それに凄くイケメンなんて良かったね!」


「良くないわよ!一緒に寝てしまった上に耳を…あぁ…思い出すだけで恥ずかしいよ。」


「だけど案外、恋に落ちたりなんてあるかもよ?」


「ヤダよあんな人!厚かましい癖に何故か会話をすると相手のペースに流されてしまうし。
只者じゃないよ!それにキスをしようとしてきたり冗談にしても危険人物だよ!」


「えぇーそうかな?案外、その彼は芽衣に気があるように見えるけどな。
まぁいいじゃん、変な人ではないんだしさ!」


「まぁ、変な人ではないけど関わりたくはないかな。」


本当にもう関わりたくない。
初対面であんな人は初めてだしね。


その後は二人で思い出話をして盛り上がった。


居酒屋を出ると智子と別れてタクシーに乗って家まで帰った。


マンションに着いてエレベーターに乗ろうとしたら後ろから誰かがエレベーターに乗ってきた。


「メーじゃん!今帰り?」


うわっ!一番会いたくなかった人に会ってしまった。


「はい」


私は六階のボタンを押して、エレベーターが閉まった。


すると久藤さんは急に私の目の前に立って壁に手をついた。


「密室に二人きりだしキスでもしとく?」


「はぁぁぁっ!」


「いいじゃん一緒に寝た仲なんだし!」


「しません!」


「冗談に決まってんだろ?本当にメーをからかうの面白ぇ!」


クスクス笑う久藤さんを本気で殴ってやりたかった。


それに冗談とか言ってるけど、あの綺麗な顔立ちに間近であんな事を言われてこっちは心臓がバクバクしてしまう。


やっぱりこの男は危険だ!


エレベーターが六階に着くと、私は急いで自分の部屋に行った。





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