フーゾク嬢の結婚
その日の夜はうまく眠れなかった。
うまくって言うのは、あのことを考えなければ寝つけたかもしれないということ。
でも、どうしても考えてしまい悔しさ?悲しさ?がこみあげる。それで寝られなくなる。
とうとう・・・
とうとう・・・
レイプを経験してしまった。

甘いのだろうか?
ああいうところで働くということは、こんなこともあって当然なのだろうか?
そのリスクを知らずに働いた自分がバカなのだろうか?
みんなどうしてるのだろうか?
ああいうことがあっても許しちゃうのだろうか?
ヤバイと察知した瞬間に部屋を出てチーフに助けを求めるべきだったのだろうか?
でも、非力な私ではもう全てが時おそしだった。

ニュースでよく聞くように、男の力は女より圧倒的に強い。

『ゲホッゲホッ』
(あっやばいな、ぜんそくが出ちゃった・・・)
暗い部屋に慌てて手を伸ばし薬を飲む。

私が毎年入院する原因は、このぜんそくだ。
これも遺伝だからしかたない。そう思えるまでには時間がかかったけど・・・。
元の持ち主は亡くなった父だった。父が私に残したものはわずかな学費とこのぜんそくだ。
今夜は明らかに、ストレスが引き起こしている気がする。

・・・怖いよ、さみしいよ、お父さん、お母さん。
カナ、ひとりぼっちなの。東京に、ひとりぼっち。
誰も守ってくれないの?カナのこと。ひとりぼっちは怖いよ・・・
ずっとひとりで怖かったよ・・・
枕元にある最後の家族旅行の写真、中学2年生の夏休み、3人で京都に行った時の写真を抱きしめた。
この1年後にお父さんが亡くなり、4年後に母が亡くなった。
お父さんも、お母さんも、もうこの世にはいない。


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