フーゾク嬢の結婚
~悲しみの夜~

私が生涯でレイプをされたのは、アイツからだけだと思う。
思い出したくないけれど、今ここに書いておこう。

服装はスーツ。それ以外はオタクっぽい風貌。基本的に無口。たぶん30代後半?
女とは全く縁がなさそうな小太りの男。

初めてやってきたときは、最短コースの60分希望だった。
その理由は後でわかる。

「こんにちは~ミナミでーす!」
入ってきたとき、私はいつものように明るく挨拶をした。
向こうは会釈を返すだけで返事がない。というかあまり私に目を合わせない。

(あまりこういうハイテンションは好きじゃないのだろうか?)
お客さんは千差万別だから、落ち着いた雰囲気を好む人も少なくはないのだ。
だから私はこの人はそういう人なのだと思った。

「この店に来られたことあります?」
「うん・・・あるよ」
と物静かに返事をし、『ヘヘ』と不気味な笑みを浮かべて淡々と服を脱ぎ始めた。
(常連なのかなぁ?)
彼をシャワーに送り出した。

ここまではいつもと変わらない。
大人しい人ではあるものの、そんな人はたくさんいるのでたいして気にかけなかった。

そして10分ほどしてシャワーから帰ってきたので、台に寝かせた。

これから始まるのだ。
その、悪夢の一時間というものが・・・
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